2018年10月20日土曜日

【ネタバレ】若おかみは小学生(映画版)を見て

TV版も全部見たし、良いと評判だったので、映画版も見てきました。
結果、まぁ良作。

大人が見るぶんにはいいんですが、小さな子供が見ることを考えると若干不安が残る。
だって、両親が死んじゃっていて、その恐怖というか悲しみがじわじわと来る感じ、
下手をするとトラウマになるのじゃないだろうか?

最終的に現実を受け入れてきっちり乗り越えるわけなんですが、小さな子供って、
ワンシーンが記憶に焼き付くことがあるから。
『この世界の片隅に』とかは舞台が現代じゃないからフィクションと捉えられると
思うんですけどね。

絵も音楽も声優さんも展開も高レベルで
良くできた作品だとは思うんですが、いくつか気になる部分はあった。

主人公のおっこが超人というか人間離れして見えてしまう。
劇中、おっこと同様に親(といっても母親だけ)を亡くした少年が出てくるのだけれど、
彼はとっても悲しんでいたし、荒れていた。
でもそれって、当然のように思う。でも、おっこは、死んだ気がしないでいて、
幻の両親と幸せな生活の幻想を何度も見ている、
とはいえ、途中まで全くといっていいほど、両親が死んだことを気に掛けない。
すごく前向きで、自分の気持ちよりも正しい行動を優先出来るほどに強い。

当然、最後の両親の死、親友と言ってよい幽霊達との別れを受け入れる、
という劇的な展開を際立たせるために、そうした面はある。

ただ、これはTV版でもそうだったけれど、両親を亡くした子供の生活としては、
恐怖すら感じるほどに前向きだ。
ここに違和感を持つ人は、映画楽しめないだろうなと思った。

作品の視点が、「仕事を頑張る小学生」というところにいっていることの弊害というか、
両親をなくしたなんて変な設定が過剰過ぎたように思う。
海外赴任で1人だけ預けられたとか、エロゲのような設定で良かったんじゃないだろうか。
原作だとまた違うのだろうが、映画だとそのことを強く感じた。

後は、女将(祖母)や女中、板前さんという旅館の大人達の存在感のなさは違和感。
両親を直接的に殺してしまった、交通事故の相手が旅館に泊まり、
そのことが分かった場面で、おっこは泣きながら幽霊達を呼んで旅館を歩き回る。

でも、旅館の大人達は誰も出てこない。なんで?
女将なんて、その前の場面で、交通事故の相手って気づいているのに?
そして、おっこが泣きつくのは、虫の知らせで駆け付けた、仲の良かった泊り客。
え?もう泊まっていなかった彼女がここで?
そんな都合の良い展開にする必要がどこにあったのだろうか?
ここは、祖母なんじゃないかなぁ、と。
祖母にするともっと深い慰めが入ってしまうのかもしれない、
そうすると話の軸がぶれると判断したのかもしれないが、違和感。


後は、、、両親が死ぬ交通事故で、おっこだけが助かるが、
その時に、幽霊のウリ坊を初めて見る。おっこだけ無傷なのは
ウリ坊が助けてくれたから?とおっこは聞いているが、ウリ坊は答えない。
ウリ坊から、命の恩人の頼みは聞くべきとか、言われるけれど、本当?
ウリ坊は、物を動かすような力は一度も見せない。
幽霊のみよはよく物を動かしているのとは対照的。
なので、ただ単に見守っていただけじゃなかろうか?
ウリ坊のせいで事故が起こった可能性さえあるんじゃないだろうか?

みよが、子供がやもりを潰そうと落とす石を止める場面。
おっこにみよが見えなくなると、すぐに石が落ちる。
全ては幻?おっこが幽霊達の力の源?
その後に、虫が苦手だったおっこが、やもりを素手で助け上げるシーンよりも、
印象が強い。
(ただ幻ということはない、おっこが知りえない情報を幽霊達から聞いているから)

TV版では竜神様だったか、神様も出てくるので、超能力とかありそうだから、
おっこが、そうでも不思議ではない。

おっこは、後半、幽霊達が見えなくなる。
原因は明言されていない、鈴の精霊?である鈴鬼だけが、どういうことなのか分かっているらしい。
EDが流れている際の1枚絵で、母親がこの鈴鬼におっこを見守って欲しいとお願いしている
シーンがある(おっこが大人になった場面ではないはず)。

幽霊たちの登場順は、ウリ坊、みよ、鈴鬼なんだけれど、
最初期に、鈴鬼が温泉でプリンを盗み食いする。
まだ出てきていないけれど、おっこに干渉はしている模様。
最後に、ウリ坊とみよは天国に行くのだけれど、鈴鬼は鬼なのでそのまま。

ということで、この物語は、両親が亡くなってから、
両親におっこの事を頼まれていた鈴鬼が、友人としてウリ坊を引き合わせて、
心の傷を癒す助けをした、という話なんじゃないかと感じた。
そして、若おかみとして、生活していく中で少しずつ、現実を受け入れることが
出来るほどにその傷が癒えていき、段々と現実に帰っていく。
そして、ウリ坊達が必要でなくなり、段々と見えなくなった。
そういう話なんだろう。

まぁ、描写の大半は、頑張り屋のおっこが若おかみとして、
宿泊客のために努力することに振り分けられていますけどね。

(猫耳みゆの謎の押しとか、祖母の子供時代のパンツーマルミエネタとか
 川沿いの動物達、ファッションショー、小ネタ的な展開も印象的)

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